農業者年金に加入する前にやるべき事とは? こちら←

【農家の相続】借金返済中の農家さんが亡くなった場合に相続で困らない為の注意点とは?

こんにちは、農家の方に特化して家計のお悩み解決をお手伝いしています

農業専門ファイナンシャルプランナーの西田凌です!

 

 

新規就農で農業をスタートさせたり、規模を拡大するという時には一般的に資金の借入をされるかと思いますが、

 

・農業近代化資金

・農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

・青年等就農資金

 

なんかはよく目にしたりしますよね。

 

※JAバンクさんのHPに資金一覧がまとめてありましたのでご参考にされて下さい。

農業関係資金一覧 | JAバンク

 

 

こういった制度を利用し新規就農したり、規模拡大をする際には、返済もあるしこれからまた頑張るぞという気持ちになりますが、

忘れてはいけないのは、借りた人に万が一があった場合には、その負債を家族が相続する場合もあります。

 

もちろん相続を放棄することはできますが、土地や家屋などを保有している場合には、それらも一緒に放棄することになってしまいます。

 

 

残された家族に迷惑を掛けないように、公庫からの借入の場合には団信に加入したり、団信に加入しないか、もしくは団信が無い場合にはその分の死亡保障を持つことが大事です。

この保障を持つという点についてはこちらの記事で以前詳しく説明しましております。↓

新規就農者が家族に迷惑を掛けないように

 

 

ただ、自宅も賃貸であったり、特に何か資産となるようなものが無いという場合には、相続する資産よりも農業の借り入れ(負債)の方が多くなります。

そういった場合には、相続を放棄する事で、農業の借り入れ(負債)を家族は相続せずに済みます。

 

ですが、相続とはなんともややこしくて、相続を放棄しようと思っていたのに、知らず知らずのうちに相続する事になってしまった!という場合もあります。

 

 

ですので、今回は借入金の返済中に農家の事業主さんに万が一があった場合に、残された家族はその資産や負債をどう処理していけばいいのか。

そして、思わぬ落とし穴にはまってしまわない様に注意すべき点などをご説明していきたいと思います。

 

 

 

目次

相続の種類

 

既にここまでで、相続という言葉をこれだけ出していていて今更感はありますが(笑)

そもそも相続とは、ある人が亡くなった場合、その人の財産を妻(あるいは夫)や子どもなどが引き継ぐことです。

現金や土地、不動産などのプラスの財産はもちろんですが、先ほども少し触れたように、引き継ぐ財産には借金のようなマイナスの財産も含まれます

 

そこで相続を受ける相続人は、プラスの財産とマイナスの財産を考慮して相続を考えなくていけませんが、

相続には「承認」「放棄」と呼ばれるものがあります。

 

相続の承認

では、まず相続の承認から少し説明しますね。

名前から分かるように、この承認は相続することを認めることです。

ただ、この承認には2つの種類があります。

 

単純承認・・・被相続人(亡くなった方)の財産をマイナスの財産も含めて無条件に承認すること

 

限定承認・・・相続できるプラスの財産の範囲内で債務も引き受けること

 

被相続人が亡くなってから3カ月を過ぎれば単純承認したとみなされるので、限定承認するにはそれまでに家庭裁判所に申し出なければなりません。

ただ、限定承認は相続人全員の同意が必要であったり、手続きが複雑になるという事であまり利用されない事が多いのが実際のようです。

 

相続の放棄

それに対して相続の放棄はプラスの財産もマイナスの財産も受け取らないという選択になります。

例えば、賃貸に住んでいて、預貯金などのプラスの資産もほとんど無いが、事業の借り入れのお金が数百万円程あり、

明らかにマイナスの資産が多い場合は放棄するという流れです。

 

こちらも、3カ月以内に決断しなければ単純承認となってしまうので注意が必要です。

 

 

 

単純承認となるのは

 

単純承認は限定承認や放棄と違って所定の手続きが必要となるわけではなく、

先ほどの3カ月以内に限定承認もしくは、放棄をしなければ単純承認となりますよとお話しました。

 

ですが、実はこれ以外にも単純承認となるパターンがあります。

 

相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき

相続財産を以下のように処分した場合には単純承認とみなされます。

売却や譲渡・・・不動産、動産、その他の財産権の譲渡

損壊・・・家屋の取り壊し

廃棄・・・資産を廃棄した

といった行為が当てはまります。

 

もちろん、この他にも単純承認とみなされる行為は様々なものがあります。

例)株式の議決権の行使、期日未到来の債務の弁済

 

ですので、もし事業主が亡くなった場合で財産を処分したりする場合には、

上記したように事業主が農業などで借り入れが無いかどうか、そして相続されるプラスの資産と比べてどうかといった点をまずは確認する必要があります。

 

※ただし、相続財産の価値を現状維持させるための「保存行為」や、「短期賃貸借」にあたる行為は「相続財産の処分」には当たらないと考えられています。

 

 

単純承認の落とし穴

しかし、ここから話すのが相続の面倒な所で、マイナスの資産が多いので放棄しようと考えていたのに、

いつの間にか単純承認してしまったという状況に陥ってしまうという事があります。

 

入院費の支払い

入院費用を相続人自身の財産から支払った場合には、被相続人の相続財産を処分したことにはならず、相続放棄は出来ます。

しかし、被相続人の財産から入院費を支払ってしまった場合には相続放棄が出来ない可能性もあります。

 

やってしまいがちなのは医療保険の請求をして、そこから入院費などを支払ったり、雑費の費用補填に充てたりする場合です。

こういった場合であっても、いつのまにか単純承認となってしまう場合があります。

 

医療保険から数十万円の保険金を受け取る為に、数百万円もしくは数千万円の借金を負ってしまう事もあり得るという話です。

 

そもそも、放棄をする場合にはその入院費などを支払う責任も無くなります。

 

 

まとめ

相続はあまり身近な話では無いかもしれませんが、親や配偶者がいる限りは必ず経験することとなります。

その場合には今回お話したような対応が必要となります。

・単純承認

・限定承認

・放棄

 

プラスの資産だけでなく農業近代化資金などのマイナスの資産もきちんと考慮して3カ月以内にはきちんと決める必要があります。

もちろん、一番良いのは生前に財産の処分について話し合っておく方が一番良いでしょうが、突然の万が一というのも無いとは限りません。

 

そんな時に慌てて財産の処分をして、今回ご紹介した相続の落とし穴にはまらないように注意されて下さいね。

もちろん自分達で判断が難しいという場合には、相続の相談に強い弁護士の先生などにご相談される方が良いでしょう。

 

では、今回も最後までお読み頂きありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です