こんにちは、農家の方に特化して家計のお悩み解決をお手伝いしています
農業専門ファイナンシャルプランナーの西田凌です!
前回の記事で収入保険制度の説明をさせて頂きました。
この中で、収入保険がカバーするリスクの説明の中で、農業経営において注意しておくべき8つのリスクがある事をお伝えしました。
農業には大きく以下の8つのリスクが最初にお話した農業を営む上での経営資源である「ヒト・モノ・カネ」に影響を与えるとされています。
記事の中では詳しく説明はしていなかったので、こちらの記事でこれらの8つのリスクがいったい何なのか、その特徴などを補足説明をさせて頂きます。
目次
農業における8つのリスク
価格リスク
価格リスクとは、特徴を堅苦しく書いていますが、生産物と投入財の予測不可能な価格変動に伴うリスク、とは要は出来上がった作物やそれを作る為に必要な肥料、農薬などの値段が上がることになります。
ここは農家さんなら特に敏感になられている所だと思いますのであまり説明は要らないかもしれませんが、原因としては、市場に同一品目が集中してしまったり、天候が良く沢山とれたといった場合です。
そういったことが原因で、売上高の減少という損失に繋がることになります。
収量減少リスク(自然災害・病害虫他)
こちらも農家の皆さんであれば一番身近なリスクですので、僕なんかよりよくご存知でしょうから詳しい説明はしませんが、天候や病害、虫害などによって収穫量が減少する損失、これも結果的に売上の減少に繋がる可能性があるリスクです。
人的リスク
農業だけでなく経営において人は「資本」の一つです。
機械がすべてオートメーションで働いてくれるというのなら話は別ですが、まだまだ人が動かなければならなりません。
ただ、常に健康に働けるわけでもありませんし、その日の体調や状況から全く同じ動作をする訳でも、環境が同じというわけでもありません。
そうやって病気や事故や災難によって働けなくなってしまったりするリスクがあり、その結果人件費の増加や収量減少、つまりこれも売上や利益の減少という損失に繋がります。
財物に対するリスク
こちらはイメージしやすいかと思いますが、農業や生活に必要となる道具や建物などが壊れてしまうリスクです。
原因も様々なものがありますが、先ほど出てきた自然災害もそうですし、自動車の事故、火災など様々な原因が挙げられ、それに伴い損失においても、住宅や作業場の損かい、ビニールハウスや機械の損かいといった損失に繋がります。
財務リスク
事業を営む上で資金繰りはとても重要です。
しかし、自分が欲しいタイミングで資金が受け取れなかったり、金利が上昇して返済額が増加してしまうこともあれば、取引きしている企業が倒産して売掛金が回収出来ず損失を被ることがあります。
基本的に財務リスクが特に問題になるのは。法人化しているような、ある程度規模のある農業法人などですので、これらの農業経営者は特に注意が必要になります。
制度上のリスク
農政は良くも悪くも農業経営にとって大きな影響があるといえるでしょう。
これまであった制度の廃止や変更に伴い、予定していた計画よりも予算が増加してしまったり、経費や人件費が増加してコストがかさんでしまう。
時には経営計画自体の見直しなども必要となってくることもあり、いきなり大きなマイナスの変更などはあまり無いかもしれませんが、将来今の制度がずっと続くと決めつけるのはあまりよくないかもしれませんね。
陳腐化・新技術導入のリスク
このリスクの特徴は重要な設備投資直後の技術確認による陳腐化というもので、少し分かりにくいかもしれませんが、例えば現在100kgの生産量がコストを掛けて新しい機械の導入で120kgになるとした直後に、
機械がさらに技術がよくなり150kg生産出来るようになったとか、この機械を使わない別の優れた栽培方法が見つかるといった事で、設備投資したのにその効果が薄くなってしまいます。
また、だからといって最新のものをどんどん取り入れようというのも、本当に効果が出るのかわからないというリスクもあります。
ですので、リスクマネジメントの観点で考えれば設備投資は遅すぎても早すぎてもいけないという事になります
賠償責任のリスク
これまでは自分達の資源の損失が中心でしたが、最後は賠償責任のリスクになります。
特徴は賠償ですので他人に与えた損害に対して、その損害を金銭的価値に計算しお金で賠償するというものです。
原因としては自動車事故や農薬散布、生産者に直接販売している人は食中毒といった原因が挙げられます。
これにより、支払うべき金銭の損失はもちろんありますが、取引先やお客様からの信用力の低下などにつながり、将来的に売り上げなどの低下という損失にも繋がります。
農業だけでなく事業というのは基本的に利益を求める活動ですので、8つのリスクを紹介しましたが、
結局最終的には売り上げの減少やコストの増加などによる利益の減少が主な損失となってきます。
それぞれに対して適切な対策を
今回は農業の8つのリスクをご紹介しました。
収入保険の補足記事としてご紹介しましたが、何もリスクに対する備えというのは保険だけではありません。
事前の予防や事後対策でリスクの影響をコントロールしたり、保険を掛けるまでもない小さなリスクは保有といって自分で賄うというのもリスク対策です。
※リスク対策の考え方についてはこちらの記事でもご紹介しています。
それぞれの地域や農業形態でリスクというのは同じ作物であってもその大きさや種類は変わってくるかと思います。
今回ご紹介した8つのリスクや対策の考え方をご参考に、万が一があっても大丈夫なように対策をしっかり打ち、日頃の農作業が安心して出来るようにされて下さいね。
では、最後までお読み頂きありがとうございました!